皮膚のすごさと、鍼を刺す技術

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皮膚のすごさと、鍼を刺す技術

子どもの頃、夢中で走り回っていて転んだ経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

私も小学校5年生くらいの頃、転んで膝を大きく擦りむいたことがあります。普通の擦り傷ではなく、直径3センチほどの皮膚がまるごと剥がれてしまいました。

当時の私は傷の痛みよりも興味の方が勝っていたのでしょう。剥がれた皮膚を手に取ってじっくり観察したことを今でも覚えています。

子どもながらに驚いたのは、皮膚が思った以上に厚く、しっかりしていたことです。

普段はあまり意識しませんが、皮膚は人体最大の臓器とも言われています。

外からの衝撃や細菌、紫外線などから身体を守り、体温を調整し、触れた感覚を脳へ伝える重要な役割も担っています。

しかも、ただ丈夫なだけではありません。

腕を曲げたり、膝を伸ばしたり、身体をひねったりしても破れないほど柔軟性があります。

まさに「丈夫さ」と「しなやかさ」を兼ね備えた優れた臓器なのです。

そんな皮膚を、鍼治療では細い鍼で貫いていきます。

言葉にすると簡単ですが、実はこれがなかなか難しい技術です。

皮膚には弾力がありますので、ただ押し込めば入るというものではありません。

患者さんが緊張して身体に力が入っていると、太めの鍼であってもスムーズに入らないことがあります。

反対に、上手に刺入すると細い鍼が皮膚を通過したことに気づかないほど自然に入っていきます。

鍼治療で使用する鍼は髪の毛ほどの太さしかありません。

細く柔らかいため、無理に力を加えれば曲がってしまいます。

だからこそ、鍼を持つ角度や指先の感覚、皮膚への当て方、刺入のタイミングなど、さまざまな技術が必要になります。

そして何より大切なのは、「痛くなく刺すこと」です。

患者さんの中には、

「鍼は痛そう」
「刺されるのが怖い」

というイメージを持って来院される方も少なくありません。

しかし実際には、施術後に

「もう刺さっていたんですか?」
「思ったより全然痛くなかったです」

と言われることも多くあります。

こうした技術は一朝一夕で身につくものではありません。

学生時代の練習から始まり、資格取得後も日々の臨床経験を積み重ねながら少しずつ磨かれていくものです。

私自身も開業以来、多くの患者さんの身体と向き合いながら、より安全で、より負担の少ない鍼治療を追求してきました。

子どもの頃に見た、あの丈夫な皮膚。

その皮膚をできるだけ負担なく通過し、身体が本来持っている回復力を引き出すお手伝いをする。

そんなことを考えながら、今日も一本一本の鍼に集中して施術を行っています

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